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「早く着きすぎた。寒い」
吐く息は白く、頬はピンクを越え赤く、耳は取れそうな寒さである。冬の朝方に小学校の前をうろつく黒ずくめの男が校門の前で座っている。
職業が警察官なら間違いなく職務質問である。
腕時計を見るにもポケットから手を出したいとは思わなかった。同窓会を企画するような真面目な化粧坂海彦ならばきっと、少し早めに来るだろう。
幌東小学校付近には昔一件コンビニが有った。そこの店長なのか毎日いる爺さんはどこに行ってしまったのだろう。
早く着いたらコンビニで雑誌でも読んで待つ予定だったが、コンビニどころか店が見当たらない。喫茶店らしき看板の建物が一軒あるが、朝七時に空いている訳もなかった。結局寒空の下に一人三十分以上いた。
真面目な人間でも遅刻はすると改めて思い知る。
「すまんね。どうせ昨日みたいにのんびり来るのかと思ってさ、待ち合わせ時間に家を出てきたよ」
化粧坂海彦は眠そうにニット帽の中の頭を掻いた。
「遅れるなら連絡位よこせよな」
「どの口が言うのか」
ケラケラと笑っている。
「お前なぁ、昨日は先に暖かい店内で待つお前と、外で待つ僕では完全に僕が被害者だぞ。笑うなよ」
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