家族と父親

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フェロモンの抑制剤、ヒートを起したΩを守る為に持ち歩けと言われていた、その半面でそれは自分の身を守る為でもあると言われていた。俺は口を酸っぱくして言われたその言葉を話半分にしか聞いてはいなかったのだが、今まさにこんな状況の事を指しているのだと、こんな時に気付いても後の祭りだ。 白い裸体が俺の上で踊る、俺はその抗い難い快楽を唇を噛んで耐える。 こいつの思い通りになどさせては駄目だ、分かっている。でも反応する身体は俺の意思に反して男の身体に楔を打ち込む。 「若いくせになんでこんなに遅いの?遅漏?まぁ、いいけど。楽しい事はじっくり、ね?」 男根を締め付けられてまた呻き声を上げる。快楽の行為が苦痛でしかない。 心のない行為はただの責め苦だ。 気持ちが悪い、甘い匂いに吐き気がする。 誰か助けてっ!と心が叫んだその時、家の扉がばんっ!と蹴破られた。 「ツキノっ!」 飛び込んできたのは赤い赤い、綺麗な人。 「助けてっ!」 咽び泣くように叫んだ言葉に彼が一瞬立ち竦んだのが分かった。噎せ返るような甘い匂い、男から発せられているのとは違う匂いが部屋中に充満した。 そして、その直後目の前の男の首が飛んだ。吹き上がる血飛沫に何が起こったのかまるで分からなかった。 赤い、世界のすべてが赤く染まる。 人形のように俺を蹂躙していた男の体が横倒しに倒れる。俺は何が起こったのか分からない。 男の首が飛び絶命したのだと理解して、俺が悲鳴を上げる前に、義母が真っ青な顔で悲鳴を上げた。 「母…さん…?」 「なんで、こんな…嫌だっ、なんで!」
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