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花園はいつものようであった。
運搬係のアリは朝早くからあちこちへと駆け回る。
クモのクイーンはネックレスを編んでいた。
鳥たちは歌のおけいこに夢中で、
ハナはビロードドレスのツヤ出しに没頭していた。
みんな一心不乱に自分の天職にわれを忘れていた。
でもワタシだけがとてつもない胸騒ぎをしていた。
それは、ワタシが何もできないということに気付いた日であった。
アリになろうかな?みんながほしいものを一瞬に届くあの達人ぶりがカッコいい。
クモのようになれれば、露に輝くネックレスがいっぱいできるな。
もし鳥たちみたいに歌がうまかったなら、合唱団がじきにできたのに。
いや、ハナもうらやましい、じっとしているだけでみんなを元気にする。
いろいろと思い悩むワタシは、まず運搬係のアリに駆けつけた。
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