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今まで僕がどれだけアピールしても全然乗ってくれなかったのに、何を勘違いしたか知らないけど。
まさに物怪の幸いだ。
ほら、先生来る前に逃げるよ。」
やつが手際よく電源を落とし、放送室を出る。
私はといえば鞄を握り直す手が震えてる。
「走れ」
この非常時にニヤニヤしてるのはさっき言ってたモッケノサイワイのせい?
ラッキーっていう意味だったよね、それ。
何がラッキーなのか、さっぱりわからない。
そのまま生徒玄関を走り抜け、よしイケる!と思った矢先。
まずい!
古典の田中先生が首タオルで草むしってる。
「よお」
固まる私達をチラリと見た先生は、すぐに顔を戻して草むしり続行。
「頑張れよ、筒井筒」
「有り難うございます!」
佑樹が最敬礼。そのまま私の腕をぐいぐい引っ張っていく。
また頭の中に疑問符。
つついづつ?
「その分じゃ学校で使ってないでしょ古語辞典。僕の想いはマジで伝わってなかったってことだ」
冷めた目で見られてるのに手は暖かい。
寧ろ熱くて火傷しそうだ。
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