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古語辞典、返しに来ない。 六時間目も終わり、明日は終業式。週が明けたら夏の補習。 いつもは机の中に置きっぱなしの辞書だけど、流石に持って帰らないと。 それにやつは今日も忙しいはず。取りに行く方が早い。 「あれ?帰らないの?」 生徒玄関とは反対の方角に足を向ける私。 「うん、ちょっと放送室に行ってくる」 ニヤニヤ笑うナルは無視。 「また明日」 「ごゆっくり」 何を言ってるんだか。 それより急ごう。多分佑樹は明後日から始まる放送コンテストの打ち合わせしてるはずだから。 それにしても暑いな。 首の周りに髪が纏わり付く。 蝉の声が既に認識できないくらい騒音になってる。 日本は既に亜熱帯。 暑いのは異常気象。 異常も二十年続けば平均値。 いつしか慣れて気づかなくなる。 あれそうだっけ?みたいな感じ。 鞄を肩にかけ直す。
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