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『ドキュメンタリー番組作りたいんだ』 そう言った佑樹は小学五年生。大人気の放送委員会に入ったやつは今思い出しても浮かれまくってた。 『だったらもう今から沢山勉強しないと』 そう言った私は六年生。 何だか委員会にやつを取られるような気がしていらいらしてた。 『それじゃ教えてよ、しおりねえちゃん』 反撃を食らった私はしたり顔で言った。 『泣き言言わないならね。あと私に逆らわないこと』 そこから始まった佑樹の家庭教師。 あれから5年。 必死に佑樹の上を行くよう頑張ってきたけれどそろそろ限界。 英語はもう既にかなわない。 既に私とやつのパワーバランスは、あっちに傾いてる気がする。 今のところ私の立ち位置は守られているけれど、それも時間の問題だ。 纏わり付く髪。 まるで私。 皆には佑樹が私にじゃれついているように見えてる。 いつまでも頼るように仕向けてるのは私自身だ。 甘やかして叱ってまた甘やかして。 馬鹿な妄想を繰り返している内に放送室に着いた。
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