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「どうしよう…」
いくら1人になりたかったからとは言え、いずれは実家に戻るつもりだった。ただこのままでは、家への帰り道がわからない。人に聞こうにも、辺りには全く人気がない。
-しょうがない。歩けば誰かしら会うだろう。
そんなことを思いながら、瑠璃は立ち上がった。
迷子になったとは言え、小さな町だ。歩けば誰かしら会うだろうし、もしくは知っている道に出るかもしれない。
だが現実は、それほど甘くはなかった。いつまで経っても、どんなに歩いても、知ってる道に出ない。人には会わないし、相変わらず人気どころか、鳥や虫など生き物の気配すらしなかった。
-地球は丸いし、歩いていればいつかは着く
瑠璃はそんな根拠不明な自信と論理を思い付いてみたが、すぐに崩れ去った。
脇には半壊の古い小屋。元の場所に戻って来てしまったのだ。
「もう、どうすればいいのー」
瑠璃は思わず叫んでしまった。
その直後だった。道の前方から、賑やかな声が聞こえてきた。瑠璃は迷わず、声の方へ走っていった。
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