第四の扉 真実と決断

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そこにいたのは、あの邪神付きの女だった。 ーそんな、この人があきと君のお母さんだったなんて。 女は今災いをもたらす邪神付きとして、千草と空に消されそうになっている。 瑠璃はあまりに惨い現実に呆然とし、固まってしまった。 そんな瑠璃をよそに、あきとは泣きそうな声で叫んだ。 「ママー、ママー、ママ!僕だよ、あきとだよ!」 邪神付きになってしまうと、生前の記憶や人格は失われてしまう。今回も例外ではなく、やはり女があきとに反応することもなかった。 「ママ!」 あきとは反応のない母親に業を煮やして、駆け寄ろうとした。 「あ、危ない!」 慌てて瑠璃が止めて、抱き寄せた。 「放せ、放して!」 あきとは駄々をこねて暴れた。それを瑠璃は黙って必死で抱え込んだ。 しばらくするとあきとは静かになった。 そしてうなだれながら涙声で言った。 「僕、ママのいうこと聞かなかったから、僕のこと嫌いになったのかな」 「…?」 「地震のとき、ママはすぐテーブルの下に隠れろって言ったのに、僕…」 「ちょっと待って、地震って何?」 瑠璃は咄嗟にあきとの話を遮った。ここ数か月人が亡くなるような天災は記憶にない。
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