第四の扉 真実と決断

13/51
42人が本棚に入れています
本棚に追加
/143ページ
「え?お昼にズドドーンってあったじゃん」 あきとは怪訝そうな顔をした。瑠璃は今日は朝から黄泉に来ていたから、この世で何が起きたのかは全く知らなかった。あきとによれば、どうやら昼時に大きな地震が来たらしかった。 ーそういえば… 瑠璃は後ろを振り返った。そこには混乱した人々が大勢いた。 ーこの混沌とした空気、この騒ぎのせいかと思ったけれども、もしかしたら地震でたくさんの死者が到着しているのかもしれない。 「僕テーブルの下にいろって言われたのに行かないで遊んでたんだ。そしたら僕の上に食器棚が倒れてきて…」 そこであきとは鼻をすすった。 「ママが思いっきり僕を突き飛ばしたんだ。僕、びっくりしたけれども泣かなかったよ。だって…」 遂にあきとはしゃくりあげた。 「僕よりママの方が絶対痛いもん。棚の下で苦しそうにしてたんだ」 「……!」 瑠璃は言葉を失った。あきとの母親はあきとを庇って代わりに食器棚の下敷きとなったのだ。幼いあきとが自分の目の前で血だらけの母親が目の前で息絶える姿を見るというのは、想像を絶するものがある。
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!