第一の扉 帰郷

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家から真っ直ぐの一本道をひたすら走る。やがて人が前にいるのを見つけ、手前で曲がった。今の瑠璃は人に会いたくない気分だった。真っ直ぐ走って、人がいたら曲がる。ただひたすら、それを繰り返した。 だがそれも長くできるものではない。息が切れて疲れ、フォームも乱れたせいか、瑠璃は小石につまづいて転んでしまった。 「いったぁー」 周りが 静かだからか、やけに瑠璃の声は大きく聞こえる。 瑠璃の膝小僧は擦りむけ、血が滲んでいる。 そして瑠璃はふと妙な静けさに、我にかえり、周りを見回した。 「ここ、どこ…?」 人気がないどころか、鳥や虫の声も聞こえない。脇を見れば、半壊の古い小屋。家の中に日が射し、中に草花が咲いている。 -全然見覚えのない場所だ。 瑠璃は帰郷するなり早々、迷子になる自分に愕然としたが、すぐ気を取り直した。 仕方がないのだ。彼女はここに住んでいた頃、一人で外を歩いたことがなかった。兄たちの死の後、瑠璃の行動にはかなりの規制がかかった。そして佳代らお手伝いさんと外に出るときは、必ず人の多い通りしか歩かなかった。
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