序章 おもひで

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あれは六つか七つのときだった。 昔地方の地主の家系だった我が家には、敷地の端に大きな蔵があった。 両親をはじめ、祖父母や叔父や叔母、大人みんなから絶対に入るなと言われていた場所だった。 だがそこまで反対されると、当時好奇心旺盛な子供だった私は、余計に気になって仕方がなかった。 ある日、両親も祖父母も用があって家を空けた。 家には私たち子どもと、お手伝いさんが残された。 私は5歳上の双子の兄たちを誘って、お手伝いさんの目を盗み、蔵まで行った。 普段鍵の閉まっているはずの蔵は、すんなり開いた。 中には古そうな巻物が沢山置いてあった。 良くわからない骨董のような、道具のようなものも数多くあった。
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