ねこのきもち

2/19
前へ
/19ページ
次へ
目が覚めると、私は知らない公園にいた。 誰もいない静かな公園。 その片隅にポツンと一つの段ボール箱。その中に私はいた。 痩せた草も、紅葉の木も、色とりどりの花も何も見たことがない。 ただ懐かしい匂いは漂ってくる。 私の下に敷かれた黄色の毛布は、私がいつも眠る時に使っていたもの。それに包まれて、ポカポカして、頭を撫でられながら眠るのが大好きだった。 毛布はひんやりと冷たい。 頭を撫でてくれる人はもういない。 いいや、もしかしたらまだ近くにいるかもしれない。 口から小さな声が出た。静かな公園に響く。 私の声は果たしてどこまで届いただろう。 思えば、こんな広大な場所にいるのは初めてのことで、壁も天井もないことがさらに私を不安にさせた。 もう一度、さっきよりも大きな声。今できる精一杯の声。 けれど、誰もいなかった。公園は静まり返ったままだった。 ほろりと、目から一粒涙が落ちる。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加