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目が覚めると、私は知らない公園にいた。
誰もいない静かな公園。
その片隅にポツンと一つの段ボール箱。その中に私はいた。
痩せた草も、紅葉の木も、色とりどりの花も何も見たことがない。
ただ懐かしい匂いは漂ってくる。
私の下に敷かれた黄色の毛布は、私がいつも眠る時に使っていたもの。それに包まれて、ポカポカして、頭を撫でられながら眠るのが大好きだった。
毛布はひんやりと冷たい。
頭を撫でてくれる人はもういない。
いいや、もしかしたらまだ近くにいるかもしれない。
口から小さな声が出た。静かな公園に響く。
私の声は果たしてどこまで届いただろう。
思えば、こんな広大な場所にいるのは初めてのことで、壁も天井もないことがさらに私を不安にさせた。
もう一度、さっきよりも大きな声。今できる精一杯の声。
けれど、誰もいなかった。公園は静まり返ったままだった。
ほろりと、目から一粒涙が落ちる。
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