ねこのきもち

6/19
前へ
/19ページ
次へ
次の日も、その次の日も、おばあさんのところへ行けば、おいしいおやつやご飯をもらうことができた。 量は少ないけど、これで空腹で死ぬことはなくなったかな。 でも、どうしておばあさんは野良猫にご飯をあげるんだろう。 ご飯の後、おばあさんの家の庭で毛づくろいをしながら考えた。 他の猫たちはどこかへ遊びに行ったが、何匹かは庭に残って、まるで自分の家かのようにくつろいでいる。じゃれ合ったり、お昼寝したり。 おばあさんはその様子をニコニコしながらながめている。 時々、お洗濯や掃除をして、その合間にまた私たちを見にくる。 私たちはといえば、タダでご飯がもらえて、安全な遊び場があって、なんならここで眠って夜を明かしたっていい。 いつでもどこでも好きな時に外に出て、自由に生きることができる。実に都合のいい場所だ。 「物好きなばあさんだろ?」 この声には聞き覚えがあった。 公園で出会った灰色猫だ。この猫もご飯をもらいにきたらしい。 「くつろいでいるオイラたちを見るのが楽しいんだとよ」 眠っている猫たちの間に入って、灰色猫はあくびの後に眠ってしまった。 みんな安心してくつろいでいる。 この様子のどこがいいのやら。 しかし、安心はすぐに消え去った。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加