【好きと言われたから好きになったのに】

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「ひーなの!」  廊下の向こうから呼び掛けられて振り向いてやれば、中学からの腐れ縁の女友達の一人が、『廊下は走るな!』の張り紙も無視して、ついでに最後に軽くジャンプして私の腕に飛び掛かってきて。  高校三年生にもなって、どうしてこの子はこう幼稚なんだろうと思いつつ、「なぁに?」と一応、用件を問うてやれば。 「ひな乃のカレシ、まーた告白されてたよ? 意地張ってないでオープンにしちゃえば?」  この子が嬉しそうに笑いながら私に飛び掛かってきた時点で、その内容は読めてはいたんだけれど。  私も私で懲りずに彼女に溜め息と共に言ってあげた。 「一年生が三年生と付き合ってるって知られた方が、彼女達、もっと躍起になるもの。性別が逆だったらまだしもね」  大人になれば二歳差なんて大したことないかもしれないけれど(実際、うちの両親は姉さん女房だし)、学生の内は、特に私を追い掛けて同じ高校に入学してくれた彼だけに、そこを弄られるのも可哀想だし、そこを逆手に取られて彼と同学年の子達に付け入れられるのも業腹だし、と思って高校では秘密にしておきましょうと彼に箝口したのは私だけれど。そして彼は不服そうにそれを受け入れてくれたけれど。 「んー、まぁひな乃の言わんとすることもわからなくないけどさー」  気さくな女友達は、同じくらい気さくに言ってくれた。 「それって、よっぽどひな乃に自信があるか、ないかのどっちかだよね」 「自信? なんの?」
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