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だって、私には特別な感情なんてない。いつまで経っても無のままなんだ。
担任はあからさまに困った顔をするし、母は激昂するし、私は混乱して教室を飛び出してしまった。
気づけば別棟の文芸部前。
でも、泣き顔なんて見られたくなくて入れないまま廊下に突っ立っていた。
「あれ? 月宮まなか?」
見たことがある男子。多分、クラスメイトの誰か。何をしていたかわからないけれど、奥の教室から出てきた。
「また泣いてんの?」
「私、あまり泣かない……けど」
「泣いてたよ。小学生の時、大泣きしてたじゃん」
ああ、じゃあ……。
この人はもしかして、小学生の時に声をかけてくれた男子? 同じ中学にいたなんて知らなかった。
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