擬人の夢・前編

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擬人の夢・前編

「あなたの擬人コードと正式名称は?」 「擬人コードLP1145SS、ユキ」 「あなたは戦いに何を懸ける?」 「あなたには守るべきものがあるのか?」 「何もない」 「私には何もないよ」 「守るべき先駆者もいない」 「戦ったこともない」 「私は製造されたばかりだ」 「まだ記憶クリスタルチップに多くの思い出を記憶していない」 ビィ ズドン!! ビリビリビリ・・・ 擬人宇宙権利・・・人間が宇宙で生き抜くためにある権利を、擬人ロボットにも適用した権利。 擬人LPのユキにもその権利は保証されていて、このファーム星系を自由に旅できるほど。 まだこの時代の宇宙旅行は一部の金持ちの特権。 文明圏の電子マネーはボディ内部のクリスタルチップに課金されていて、生活に困ることはない。 一生(何百年でも)遊んでいても誰も文句は言わないが、ユキにも知性と本能が組み込まれている。人を守る本能。 はじめて戦いに志願した日、私の愛した人が死んだ。順番は逆だが、その日の朝、その人は死んだ。 高齢からくる寿命だ。人間、178歳。延命措置は効かなかった。 その人「マリ」はこの世界を愛していた。私はマリの教え子。師弟が師を愛するのはいけないことかしら。     
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