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彼は顔を上げ、天井を見上げた。
「思えば、お前との付き合いも長かったよな」
「ええ」
「色んなことがあったな」
「ええ」
私は彼との思い出を瞼の裏に思い浮かべた。
きっと彼も同じことをしているだろう。
「俺さ、最初お前を見た時に『俺、この子と一緒になるんだろうな』って悟ったんだよね」
私は思わず吹き出した。
「何それ。でもまあ、分からないでもないかな」
私も同じように感じていた。一生をこの人に捧げるんだな、と。
彼は寂しそうに俯いた。
「一緒にはなれたけど、ずっと一緒にいることは叶わなかったな……」
「そうね」
「でも、お前と一緒になれて、お前と出会えてよかったって思ってる。お前はどうだ?」
彼は俯いたまま言った。
「もちろん、私もよ」
彼の温かく、優しい瞳が心地良くて、私は自然と微笑を浮かべた。
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