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「あー、兄ちゃんお帰り」
汗だくになって家に帰ると、弟の慎吾が一足先に家に帰り着いていた。
「はー!暑い!あ?俺にもよこせよ!」
よく見ると慎吾がニコニコしながら玄関先にジュースのコップを持って、出迎えていた。
「うん、いいよー。これ、やる」
俺より2歳年下で、今年10歳の慎吾は俺よりかなり性格がいい。
これは兄の贔屓目ではない。
お祖母ちゃんもそう言っていたな。
「あたしの孫の中では、慎吾が一番気性がいいもんなぁ」てさ。
俺の心を知ってか知らずが、慎吾は自分のオレンジジュースを俺に譲ると、自分はさっさと台所に行き、新しくジュースを注ぐみたいだった。
俺は弟が羨ましいような、寂しいような、変な気持ちになりながら冷たく冷えたジュースのコップに口をつけた。
「太一、帰ったね?」
「うん」
すると台所のほうからお母さんの声がした。
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