30人が本棚に入れています
本棚に追加
「わぁ!暑かったろう!?太一ちゃんも慎吾ちゃんも早よう、入りなさい!」
インターフォンを押して、用件を告げる前に、ものすごい勢いでドアが開いた。
すると、ふくよかな丸顔の秋代お祖母ちゃんが、大慌てで俺たちに声をかけてくれた。
「あんたたちのお母さんからさっき電話もらってねぇ!スイカなんかわざわざこんな暑い日に、子供に持たせんでもいいのに!!自分が車で届けるのが面倒くさいなら、宅配便で送ればいいのに!宅配便で!あの子は変なところで節約して、もう!」
俺のお母さんにプリプリ怒っているお祖母ちゃんに、俺も内心、大賛成だった。
門扉を開け、自転車を慎吾と協力して玄関の中にまで入れた。
「早く、上がりなさい。荷物は後から解けばいいから」
廊下の奥からおいでおいで、と手招きするお祖母ちゃんに“お邪魔します”と2人揃ってペコリと頭を下げた。
それから俺と慎吾は、暑さで茹で上がるように熱い靴を脱ぐ。
床のひんやりした感触が、靴下から足の裏に伝わって気持ちいい。
スリッパに履き替えるために、スリッパ立てに手を伸ばす。
その時ふと、見慣れない婦人靴が2足、きちんと揃えて玄関先に置いてあることに俺は気づいた。
「お祖母ちゃん、誰かお客さん?」
最初のコメントを投稿しよう!