事実は小説よりも怪談なり。雪の夕に

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さて その本局ってのが 通常の道を歩いて行けば 三十分ぐらいで着けるところにあるのだが この日は やはり 大雪の翌日だけあって 中々 足が進まないわけだ その本局へ向かうには JRの駅前北口の大通りまで出ていけば 結構 歩き安く 雪かきとかしてあり  そちらへ行こうかと思うも 如何せん 家からは その本局方面へは 逆に進むことになるので 近道である ○△橋を渡ってから A川沿いの道を真っ直ぐ その駅前大通りまで進むことにして 向かっていました さて この橋 実は 先の大戦の遺構的に残っている橋で まあ 当時 米軍の戦闘機や爆撃機が 空襲した際の 弾痕とか いくつも残っているのですけど この橋は 家から近いため よく利用してるので  まるで気にならなかったんですよね そして 橋を渡りきっては 川沿いの道を とぼとぼ 雪の残るのを避けながら 歩いていたのですが 時間も 三時半を回り なにげに 夕方が近くなってきた感が漂ってきたわけで その道 然程 広いわけでもなく 車の通行もまばら しかも 雪の残る道なので 人も歩いてなんかいないわけで。 でも 夕方近いと言っても 暗闇が迫ってきてる感じはせず  また 私 実は 雪明かりの道とか歩くの結構好きなので まあ ゆっくり 歩いていたんですよね が ふと A川沿いの岸の辺りが気になったんですよ で 立ち止まって  道と川の狭間にある 岸を見たらば 白いものが 数本 そうだなあ 彼岸花が咲くみたいな感じで 立ってるのが目に入ったんですよね 「なんじゃありゃ?」と目を凝らして 見つめれば 確かに 彼岸花みたいな白い植物が  岸に生えてるわけだ しかし この真冬 大雪の翌日 植物があんなところに あるかぁ? 疑心暗鬼 で もっとそばで見たいと思って その道の川よりへ移動しては 今一度 目を凝らして見てみたんですよね でも やはり  植物っぽくしか見えないし 「なんかあの辺にあるものに雪が積もってあんな風に見えてるんだろう」と納得して 歩きだそうとした瞬間ですよ
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