「シルバーリングは水の底」

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「シルバーリングは水の底」

 また、あの日の夢を見ている。  もう二年も前のことになる。それは交通事故の記憶だ。とはいっても、私が事故に遭ったわけじゃない。  まるで洋服屋のマネキンみたいな間の抜けたポーズで、轢かれた体が跳ねるのを見ていた。  私はそれがいつまで経っても忘れられない。  だからこうして繰り返し繰り返し夢に見ている。  さすがに頻度自体は減ってきているのだけど。  一応、この夢を見るのはそこそこ久しぶりだ。  体がすでに冷たくなった頃に救急車が到着して、私に「家族ですか。乗ってください」と言うのだけど、私は足をガクガクさせて「嫌です」と言った。  救急車に乗ったら、死んじゃうんじゃないかと思ったのだ。もう死んでたのに、馬鹿な話だと自分でも思う。  でもなぜか、その救急車に一緒に乗るのが嫌だったのだ。
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