0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「シルバーリングは水の底」
また、あの日の夢を見ている。
もう二年も前のことになる。それは交通事故の記憶だ。とはいっても、私が事故に遭ったわけじゃない。
まるで洋服屋のマネキンみたいな間の抜けたポーズで、轢かれた体が跳ねるのを見ていた。
私はそれがいつまで経っても忘れられない。
だからこうして繰り返し繰り返し夢に見ている。
さすがに頻度自体は減ってきているのだけど。
一応、この夢を見るのはそこそこ久しぶりだ。
体がすでに冷たくなった頃に救急車が到着して、私に「家族ですか。乗ってください」と言うのだけど、私は足をガクガクさせて「嫌です」と言った。
救急車に乗ったら、死んじゃうんじゃないかと思ったのだ。もう死んでたのに、馬鹿な話だと自分でも思う。
でもなぜか、その救急車に一緒に乗るのが嫌だったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!