第一章 手のひらの上で

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 男は穢れた地球を見つめなおして、たどたどしくつぶやいた。  「…乗り越えられないかな?悪い心と戦ったら…。」  「…どうでしょう?でも、最後には前に進めるはずよ。気持ちの持ちようよ、そういうのは。きっと、間違ったことに気づける心とか、自分がやっちゃった悪いこととかを反省する心があれば、きっと…乗り越えられるはずよ。」  「試してみない?本当にそうなるかどうか…。」  「え?」  そういうと、男は立ち上がって目を閉じた。想い人は、座ったまま男の方を見上げた。  「何か始めるの?」  男は目を閉じたまま、小さく頷いた。少し微笑んでいるように見える…。  「どんな風になるか分からないけど…本当の平和、全ての人が、人並みに生活できる世の中になるように、心と話してくるよ。」  女は静かに立ちあがって、男の方を向いた。  「大丈夫…?」  「あぁ…僕は大丈夫だよ。それに…わかっているはずだ、どうすれば本当の平和が実現するかどうか。一人ひとりが意識して行動すれば、代表になって動く人なんか特に、頭に念じて行動すれば、きっと…乗り越えられる。」  「手…つないでいい?」  女は愛する男の手を握った。  「ありがとう…心強いよ。それに、暖かいね…。」  「ふふふ…。」  「怖くない?」  「うん、大丈夫。」  二人は手を優しく、けれども強く握り会った。男は目をつむったままだったが、想い人も隣で目をつむってくれるのを、肌で感じた。  やがて、男が淡い深緑色に包まれると、愛する女も、ゆるやかな緑色に包まれていった。そうして二人は、宙に浮かび、ゆっくりと、もっと遠いところへ風船のように浮かび上がっていって…ガラスのように砕けた。  二人の破片は、漆黒の闇の中で、微かな星の光に照らされて、きらきらと揺らめいた。破片は際限なく生まれたと思うと、一つずつ、あの星に流れて行った。 2018/07/22 pm5:48
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