第一章 またミスをした

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「へえ……それって誰なの?」  少しの沈黙を破って美咲に尋ねたのは、秘密を知ってる由佳(ゆか)だった。 「誰だと思う?ヒントはねぇ、この部活のひと!」 「もしかして、三年の宮倉先輩?」 「ちっがーう!三年生じゃないし!」  嘘。そんなの嘘。 「じゃ、じゃあ二年の相沢先輩?」 「あーまぁ、イケメンだよね。違うけど!うちらと同じ学年だよ」 「一年ってこと?」 一年生の男子なんて、そんなにいない。 確か四人だったはず……。 「背ぇ高くてー」  田澄(たずみ)じゃない。 「声低くてぇー」  鈴木じゃない。 「ちょっとニキビある」 嫌だ。嘘吐き。そんなの嘘、嘘であって。
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