さよならを

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 何で私は独りなんだろう。やっぱり来なければ良かった。何で来てしまったんだろう。  夏が来てみんなどこか浮かれているような気がする。そんな中でも今日はとくに。今日は市の花火祭りだ。  なんとなく足を運んだけれど、すでに来たことを激しく後悔している。周りを見渡せば浴衣を着て、綺麗に着飾り華やかな女性達。そして皆幸せそうに笑っていた。  恋人と手を繋ぎながら、空高く上がる花火を見上げては換気の声が広がる。友達と、家族と、ここにいる人達は皆楽しそうに空を見上げていた。私を除いては……。  帰ろうか、思わず俯いた。屋台の隣に目立たないよう座って、上がる花火を見ていたけれど、色鮮やかな花火を見れば見るほど心が寂しさと虚しさに襲われた。  去年は一緒に来る人が私にもいた。ここにいる人達と同じように、幸せな気持ちで空を見上げていたんだ。でもそんな夏はもう終わってしまった。五年付き合った彼氏に別れを告げられたのだ。  何が起きたのか分からなかった。それからの私は空っぽで、何をしても上手く行かず気付けば一年が過ぎていた。  夏が来ていた。夏は大好きで、青い空やひまわりを見ると何か起きそうな気がしてワクワクした。
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