僕とセミと、信号と

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僕とセミと、信号と

ミーンミンミンミン…… 夏空に、セミの声が響き渡る。 汗を拭いながら、僕は田んぼ道を自転車で駆ける。 「はぁ、はぁ……」 セミの声をBGMに、立ち漕ぎをする。 これぞ夏、これぞ学生の夏休み。 セミは学生の僕たちに、夏休みの到来を告げる。セミは、本格的な夏の始まりを告げる虫だと、さながら春を告げるウグイスのようだと、僕はそう思っている。 僕はこれから部活に行く。 中学生になった僕には、お盆まで部活漬けの日々が待っているのだ。去年まではクーラーの効いた部屋で目を覚まし、ラジオ体操をするために嫌々ながら小学校に出向き、帰宅早々アイスを食べ、ゲームをして、寝て……そんな堕落した生活を送っていたが、今年からはそれも叶わない。 部活に行きたくないと何度思ったことか。しかし、僕が入ったのは野球部だ。しかも、県で指折り5本には入るくらいの強豪チームだ。 家庭の事情でもない限り、休むなんてありえない。体調不良はもってのほか。無断欠席言語道断。 それが、この学校の野球部の顧問が掲げているチーム目標……否、守らなければ強制退部させられるという、言ってしまえば校則よりも厳しいルールだ。     
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