14人が本棚に入れています
本棚に追加
Ep1: 女の子の味方②「どこのどいつかな?」
「……え!?」
驚いた梨花の反応に笑い、満はもう一度言う。
「梨花ちゃんの彼氏をぶっ飛ばすのが、まずは第一段階かな」
満の表情は穏やかで、凪のよう。しかし語る内容はどことなく不穏である。
「え、あの、私は痴漢に遭わないようにしたいってだけで」
「そうだね、そのために必要なステップだ」
「何で!」
その疑問をぶつけたのは当事者の梨花ではなく、和葉だった。満はニコニコと言葉を続ける。
「痴漢はね、なくならないよ。絶対に」
「!」
断定的な物言いに、梨花はグッと喉をつまらせた。
「減らすことはできても、今後まったく遭わないようにするってのは無理じゃないかな。梨花ちゃん気弱そうだし小さいし。痴漢側からしたら絶好のターゲットだ」
「そんな……」
「ちょっと、みーちゃん! 不安にさせてどうするのよっ!」
怒った和葉がしゃしゃり出る。満自身も言いすぎかと心は痛んだが、彼女がどれほど自覚をしているかの事実確認もしたかったのだ。
「そんなこと……私、言われてもっ」
そして案の定、梨花は無自覚に気弱だった。満は小さく微笑み、持ってきた自らのカバンを開けた。
「はい、これ梨花ちゃんにあげる」
最初のコメントを投稿しよう!