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でもその中身はてんでミーハーなお子様で、恋に恋しているまだまだ未熟な少女だ。そのままでいてくれよな、いや、ちょっとは気づいてもいいのかもな、なんて満が考えていることなど──彼女は気づいてもいない。
「あ、あの……和葉ちゃん?」
そんなやりとりをしていたら、和葉の背後から遠慮がちな女の子の声が聞こえた。
満はそのときようやく、和葉の後ろに隠れていた物静かそうな女の子の存在に気づく。
肩らへんまでのミディアムヘアに、キョロキョロと辺りを気にする小さな瞳。どこか庇護欲をそそる幼い印象の女の子がそこにいた。
「あ、ごめん梨花ちゃん! みーちゃんの顔、見たらつい」
「ふふ、仲が良いんだね」
「中学からの縁ってだけだよぉ」
ナチュラルに満の心を傷つける和葉の肩に手をかけて、立ち上がった満は梨花ちゃんと呼ばれた女の子を見た。
襟元のバッチを見れば、同級生ということがわかった。
「えっと、君は?」
満は穏やかに梨花に問うた。
が、代わりに和葉がまた前にしゃしゃり出てくる。
「鈴野梨花ちゃん! 去年クラスメイトだったの」
その向こう側で梨花が小さく会釈した。出しゃばりと控えめ、いいバランスだと満は苦笑した。
「あの……和葉ちゃんに相談してたら、あなたに聞いてもらった方がいいって……」
おずおずと梨花は口を開く。
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