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「御手洗くんのことは前から有名で知ってたし、和葉ちゃんにも言われたから来ちゃったけど……その、迷惑なら大丈夫だから……」
突つけば引っ込んでしまいそうな物言いに、満の眼差しは細くなる。可愛い女の子だな、と素直に思う。そしてそんな目元は、梨花の不安を和らげることに成功した。
「迷惑なんかじゃないよ。えっと、ここでも話せる内容かな?」
「……できれば、ここじゃない方が」
騒がしい昼休みの教室ではあるが、近くにクラスメイトたちはたくさんいる。満は梨花が安心できるように、また微笑んだ。
「それなら移動しよう」
・ ・ ・
御手洗満が女の子の相談事をよく受けるようになったのは、おそらく小学生時分にまでさかのぼる。
特別イケメンというわけではないが、優しげな細い目元、仏顔とよく言われるどこか安心感を与える満は、女の子にとって話しやすい異性だったようだ。
初対面でもすぐに女の子と打ち解けられる満の交友範囲は、どちらかというと男子よりも女子の方が多くなっていく。 そしてそんな彼の生活は、女の子の悩みや愚痴、相談を受けることが多くなった。
満自身もそれを苦とはしていなく、むしろ女の子が笑顔になるのなら、とどこかフェミニストな彼は喜んで耳を傾けていた。
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