Ep1: 女の子の味方②「どこのどいつかな?」

1/5
前へ
/182ページ
次へ

Ep1: 女の子の味方②「どこのどいつかな?」

「……え!?」  驚いた梨花の反応に笑い、満はもう一度言う。 「梨花ちゃんの彼氏をぶっ飛ばすのが、まずは第一段階かな」  満の表情は穏やかで、凪のよう。しかし語る内容はどことなく不穏である。 「え、あの、私は痴漢に遭わないようにしたいってだけで」 「そうだね、そのために必要なステップだ」 「何で!」  その疑問をぶつけたのは当事者の梨花ではなく、和葉だった。満はニコニコと言葉を続ける。 「痴漢はね、なくならないよ。絶対に」 「!」  断定的な物言いに、梨花はグッと喉をつまらせた。 「減らすことはできても、今後まったく遭わないようにするってのは無理じゃないかな。梨花ちゃん気弱そうだし小さいし。痴漢側からしたら絶好のターゲットだ」 「そんな……」 「ちょっと、みーちゃん! 不安にさせてどうするのよっ!」  怒った和葉がしゃしゃり出る。満自身も言いすぎかと心は痛んだが、彼女がどれほど自覚をしているかの事実確認もしたかったのだ。 「そんなこと……私、言われてもっ」  そして案の定、梨花は無自覚に気弱だった。満は小さく微笑み、持ってきた自らのカバンを開けた。 「はい、これ梨花ちゃんにあげる」     
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加