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「え!」
ドサドサッとクレーンゲームの賞品みたく梨花の膝上に放られたのは、さまざまな小物類だった。
「これ何?」
「痴漢対策グッズだね。これは防犯ブザー、胸ポケットにでも入れておくといい。安全ピンは痴漢の手にでもぶっ刺して。怪我も後で証拠になる。これは痴漢防止バッチ。『痴漢を許さない』って意思表示のためだね。デザイン気にくわないなら、他にもあるよ」
「え、すごーい……」
思わず梨花から感嘆のつぶやきが漏れる。手品師のように次々と物を手にし解説する満に対して、和葉は口をポカンと開けた。
「何でみーちゃん、こんなに痴漢防止グッズ持ってるの?」
まさか、みーちゃんも痴漢に遭ってるの? と首をかしげた和葉のおでこを、梨花越しに満は軽くデコピンした。
「バカカズ、んなわけないだろう。前も痴漢に悩む子の相談に乗ったときの、余り物だよ」
「いたぁ~い」
加減はしたはずなのに、恨めしそうに和葉は睨む。その視線を受け流して、満は梨花に声をかけた。
「出来る限りの抵抗をしよう。しないと、君はいつまでもか弱い被害者だ」
「う、うん……」
梨花は小さくうなずく。膝上の物たちが彼女の顔つきを少しだけ強くさせたが、まだ足りない。
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