げこげこぽん

2/14
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「れーいじ! サッカーしに行こうぜ」 「おうっ」  礼二は親友・峰岸奏太と共に戸口から廊下に出ると、リンクと美和が神妙な面持ちで話をしているのが目に入った。礼二と二人の目線がぶつかる。美和は礼二に向かってべえと舌を出し、リンクはおっとりとした雰囲気で微笑んだ。 「アイツらよくやるよなー。毎日毎日占いなんか」  礼二は右ひざと左ひざでボールを交互に受けながら言った。 「でもさあ、月城さんの占いって本当に当たるらしいよ?」 「奏太、お前まで信じてんのかよ」  奏太が真剣な顔で話し始めた。 「4年生のときも月城さんと同じクラスだったんだけどさ、担任の先生に半年以内に結婚しますって占ってて、本当に結婚したんだよ!」 「いや、それ彼氏がいただけだろ」 「違うって。そんときはいなかったって」 「偶然偶然」 「そうかなぁ~。でもさあ」 「ん?」 「月城さんって結構かわいくね?」  礼二は奏太の思いがけない言葉に動揺し、受け損ねたボールが廊下をコロコロと転がっていく。礼二は慌てて追いかけ、拾い上げながら言った。 「かわいくねーよ、あんなブス」 「そうかなぁ~」 「そうだよ! ほら、早く行くぞっ」  靴に履き替え昇降口から外へ飛び出すと、太陽の強い日差しが降り注ぎ、礼二は思わず目をつぶった。  振り向くと2階の窓際にいるリンクと目が合った。リンクの黒髪は陽光を受けキラキラと輝いている。  リンクがひらひらと手を振った。礼二は顔がカアッと熱くなり、校舎に背を向ける。  「何がお天気占いだ! 俺はぜったいにそんなもん信じねーぞ」と礼二は心の中で叫んだ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!