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「4時間目の算数って何やったっけ?」
「小数のかけ算だよ」
「ふんふん。小数のかけ算、ね」
礼二はリンクの助けを借りながら、日誌の空欄を埋めていった。
リンクは突然椅子から立ち上がり、窓側へ歩いていく。日が落ちてきており、校庭がオレンジ色から茜色に染まり始めていた。
「真鍋くんてさ、サッカー好きだよね」
「あーまあ、うん」
「今日のお昼休み、窓から手を振ったんだけど気が付いた?」
「いや」
礼二は何だか気恥ずかしくなってつい嘘をついてしまった。
「そっかー残念」
リンクは眉尻を下げて少し寂しそうな表情を浮かべた。窓から差し込む茜色の光がリンクの頬を染める。
「……なあ、月城」
「ん?」
「げこげこぽんってどういう意味だ?」
リンクは曖昧な笑顔で視線を床に落とした。
「……分からない。私のおばあちゃん占い師だったんだけど、占ってくれる時ね、いつもげこげこぽんぽんげこげこぽんって言ってたの。私はそれをマネただけ」
「ふーん。ばあちゃんも占いやってたのか」
「もう死んじゃったけどね」
日誌を書いていた礼二の手が止まる。それを見てリンクが口を開いた。
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