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「げこげこぽんぽん、げこげこぽん。げこげこぽんぽん、げこげこぽん」
そう言いながらリンクは礼二に近づいてくる。リンクの艶っぽい唇が動き、二人の距離が一歩ずつ近づくたびに、礼二の心臓もドキドキと鼓動が激しくなっていた。
「明日の、あなたの、お天気は?」
リンクは礼二の机に両手を置き、顔をぐっと近づけた。礼二は頬がかあっと熱くなり、椅子から飛び上がった。動揺している礼二だが、目の前のリンクは茫然とした表情を浮かべていた。
「月城?」
「……真鍋くん、明日学校休んだ方がいい」
「は?」
「今、真鍋くんの顔に“嵐”が見えたの! 明日は絶対家にいた方が……」
「ばーか。んなわけないじゃん。俺占い信じないし」
リンクは礼二の腕を両手でぐっと掴んだ。
「お願い! 今回だけは私の言うことを信じて」
礼二はまた体中が熱くなってくるのを感じ、ばっとリンクの手を振りほどいた。
「占いなんか当たった所でそれがどうしたっていうんだ! そんなにみんなの注目を浴びたいのかよ!」
礼二は日誌を乱雑に掴むとランドセルを背負って教室から出ていった。
「真鍋くん!」
背中でリンクの呼ぶ声が聞こえたが、礼二は振り返らずに廊下を走り続けた。
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