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礼二ははっとして前方を見ると、体格の大きい犬がこちらに向かって走ってきていた。我を失ったような目、はあはあと荒い息遣い。凄まじい勢いだ。
クラスメイトたちは慌てて壁に体をくっつけ、必死で犬を避けていた。まるで台風のような勢いは衰えることなく、美和たちを視界に入れる。異常な興奮状態。犬は空中に飛び上がり、鋭い牙を美和たちに向けた。
「きゃあああああああああああああああっ」
女子の悲鳴が廊下中に響き渡る。
礼二は美和たちの前に出て、右腕でガードした。がぶっと腕に牙が突き刺さり、「うっ」と礼二がうめき声をあげた。礼二と犬の目線がぶつかる。
礼二は怯むことなく犬の目を睨みつけて叫んだ。
「おとなしくしろっっ!」
それを合図に奏太たちが駆けつけ、男子数人で暴れる犬を抑えつけた。
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