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礼二が保健室を出ると、廊下で奏太と美和が待っていた。
「礼二、大丈夫?」
心配している奏太に、白い包帯でぐるぐる巻きの腕を掲げて見せた。
「これぐらい平気だっての。そんなに痛くないしさ」
「ごめん、真鍋。ケガさせちゃって」
美和がもじもじしながら言った。
「別にいいって。てか中山に謝られんの何か気持ちワリー」
「なっ、人が素直に心配してるのに」
「まあまあ二人とも。早く教室戻ろうよ」
奏太が苦笑いしながら二人の肩を叩いた。
「てか何だったんだ、あの犬」
礼二は教室に向かいながら、さっきの出来事を反芻していた。
「首輪ついてたし先生たちが飼い主探しているみたいだよ。ああ、あと礼二のお母さんが放課後学校に来るって」
「マジ? めんどくせー」
礼二はがっくりと肩を落とした。その時。
――真鍋くん!
突然、リンクの声が頭の中に響き、はっと顔を上げた。
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