受験生の日常

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「……先生」 「何だ?」 振り向いた時、先生の表情はいつもと変わらなかった。 「さっき、大和さんとすれ違いました」 私が何を言おうとしたのか気付いたのだろう。 先生の動きが僅かに止まる。 「先生は付き合ってる人がいるんですか?」 「……何で知りたいんだ?そんな事」 優しい笑みを浮かべる先生。 それは本心を隠しているようで。 「ただの興味です」 「ただの興味本位でプライベートは言いません」 「……振ったの?」 先生は何も言わなかった。 きっと、ちーちゃんの事を思ってだろう。 だからここからは私の一方的な会話だ。 「教師だからとか、生徒としてしか見れないとか言って振ったんじゃないですよね?」 「……だったら何だ?」 「それ、誠実じゃない」 ちーちゃんとは一緒にいたグループが違ったけれど、話はそれなりにした方だと思う。 けれど恋バナなんてした事はない。 いつから先生の事が好きだったかなんて知らない。 けれどアリーちゃんは、きっと先生に恋心を抱いている。 好きだとか告白するだとか話した事はないし、アリーちゃんがそんな行動を起こすなんて想像出来ない。 でも可能性はなくはないと思う。 だからもし同じ状況になったとしても、そんな理由をつけて欲しくなかった。
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