新たな仲間(エリオット)

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「いいえ、分かっておられないからこのように残業を重ねているのです。私がここに来たのは多忙極まる貴方の業務を少しでも減らす為。なのに貴方は医療のみならず雑務までご自分でなさる始末。これでは私が師に怒られて……」 「あっ、あの、分かりました」  溜息と共に凄い勢いで説教をされ、エリオットの方がタジタジとなる。業務の経験は悠にエリオットが上だが、人間的には敵わない気がしている。  リカルドが騎士団に入ってきたのは、ほんの数ヶ月前だ。デイジーの事件があった少し後だろうか。エリオットと師を同じくするエルの青年は、行動も言動もとても落ち着いていて無駄がない。  ただ、口振りまで無駄かないようであまり世間話などはしないのだが。  それでも信頼している。彼が「砦の治療はお任せ下さい」と言ってくれなければ、エリオットもハムレットもリリーには行けなかった。そうなれば、ランバートか、ファウストか、レーティスか。いずれの命は助けられなかっただろう。 「今日はこれで終わりにします」 「大分落ち着いてきました。治療の必要な方も容態は安定、快方へと向かっております。よろしければ予定を合わせ、数日どこかへ行かれては?」 「え?」  赤い瞳がカルテへと落ちている。それが僅かにエリオットへと流れてきて、ドキリとした。彼にはオスカルとの事は話していないのだ。 「近衛府のオスカル様と良い仲なのですよね?」 「え? どうしてそれを!」     
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