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「オスカル様はこの数日、診察室の手前まできて多忙な貴方を見て、溜息をついて去って行かれます。特に秘密にしている様子もございませんでしたが?」
彼は……。
思うとふつふつ湧く感情はある。だがすぐにそれは消えていく。単なる照れ隠しだから。
「仲良きことは良きことです。ランバートとファウスト様のように」
「彼らは…」
「他にも多くの恋人がおられるようです。今更隠す必要は無いように思います。お似合いですよ」
「……」
とても鋭い人だとは思っていた。だが、まさか……。
「ランバートの体調管理と術後観察はしておきすので、どうぞ」
「あの、ファウストもなのですが……」
「あれは医師としての常識を既に越えておりますので、何とも言いがたいのですが」
それを言われるともう何も言えなくなってくる。確かに医者としてあいつの回復力の高さは何なんだと言いたくなってしまう。
普通あれだけの怪我を負えば傷自体の回復に一ヶ月以上、リハビリには更にかかり、仕事復帰は更に先だ。なのにあいつは既に平気な顔で動き回っている。体力があるとかそういう問題以上のものを感じてしまう。
「体調管理をしておきますので、希望がありましたらお休み下さい」
「……有り難うございます」
「いえ」
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