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こんなの貰えない。そういう遠慮がどこかにある。けれどそれ以上に嬉しくてドキドキする。幸せで、泣きそうだ。
温かな手が頬を撫でる。泣きそうではなくて、泣いていた。
「喜んでくれた?」
「勿論!」
「結婚指輪は、約束通り二人で選ぼうね」
「はい!」
幸せに微笑むエリオットに、疲れの色などもうない。嬉しげに頬を上気させたエリオットの手を取って、オスカルは丁寧に自分の瞳の色の指輪をエリオットの薬指へとはめ、うっとりと手の甲へと口づけた。
「有り難う。僕はとても幸せ」
「私も、同じですよ」
目頭がまたまた熱くなる。指にはまった指輪を目の前にかざし、包み込む。そして残っている指輪を手に取ると、同じようにオスカルの手を取って指にはめた。
彼と一緒に、いる気がする。指輪を通して、一部になれている気がする。
オスカルも嬉しそうに微笑んで、手を取って指先にキスをした。
「改めて。僕と、結婚して下さい」
「はい、私でいいのなら」
「最良の伴侶だよ」
固く抱きしめられて、互いに微笑んでどちらともなくキスをする。生まれて今までで、一番甘く幸せなキスだった。
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