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【R18】残業禁止令(ウェイン)
「ねぇ、アシュレー寝ようよぉ」
机のランプを灯して書類仕事をしている恋人へと声をかけたウェインだが、視線の先の人物は実に気の無い返事だ。
「先に寝ていろ。寧ろ部屋に戻れ」
「やだ」
「ウェイン」
「やだもん」
ソファーで膝を抱えたウェインは、持ち込んだもこもこの兎クッションを抱き寄せた。
西の事件後、アシュレーは部屋にも仕事を持ち込んでいる。それというのも、第五と第一師団の被害がやはり大きかったからだ。
じっくりと二年目と一年目を育てていた第一師団は最近訓練の量を増やした。それに伴い訓練状況の見直し、負担がかかりすぎていないかというケア、遅れている隊員への対応と、あれこれやる事になった。
忙しいのは分かっている。師団長として気を張っているのも分かっている。
けれどアシュレーだって決して無傷ではないのだ。
港の砲撃は捨て身と言えるものだった。狙いを定めていない船からの砲撃で港は半壊し、瓦礫に埋もれて亡くなる隊員も多かった。
陸に備え付けの大砲によって船は沈められ、乗っていた者はほぼ死んだ。
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