【R18】満たされて(ゼロス)

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 クラウルは泣きそうな顔でこちらを見ている。虐めたつもりはないのだが、結果はそうなったかもしれない。忙しく事後処理をしていたのだから、責められるいわれはない。  責めてしまったのは、多少寂しかったからかもしれない。  息をついて、近づいて、そっと首に腕を回してキスをした。こうして触れるのも久しぶり。 「……んっ」  角度を変えて深く絡めるようなキスにゾクゾクする。クラウルの手が腰と頭の後ろを捉えて、かき混ぜるように髪を弄る。大きく少しゴツい手に触れられるだけで、心地よい感じがしている。  唇が離れ、互いを濡れた瞳で見つめる。吸い込まれるような黒い瞳が、真っ直ぐにこちらを見ている。 「明日、仕事だろ?」 「では、無理のない程度にしてください」 「苦行しろと?」 「手加減しろと言っているのですが」  苦行ってなんだ。思わずツッコみたくなる。  困ったように微笑む瞳は、本当は困っていない。優しく優しく緩まっていって、力が抜けていく。気の抜けたこの人の顔を見ているのは……欲情に濡れた瞳を見ているのは自分だけ。それはゼロスの、一つの優越感だった。 「何なら明日、俺が休みを取ってやる」 「恥ずかしすぎるので遠慮いたします」  明らかに情事によると分かる休みなんて冗談じゃない。  それに、体は辛くても心は満たされる。だから、平気だ。     
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