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新たな仲間(エリオット)
西の大乱から一ヶ月。ようやく落ち着いてきた。
決して傷の浅い者ばかりではなかった。特にランバートとファウストに関しては今も要治療中である。
他にも少し気をつけて体調を見ておきたい隊員もいる。
夜、多少目がシパシパと霞み、軽く目頭を揉みながら個人個人のカルテを書き込み現状を書き込む作業に没頭している。それでも疲れ、椅子の背に凭れて天井を仰ぎ見ていた。
その背後から静かな人の気配がした。そして次には程よく温められたタオルが目元に置かれる。温かく温もり、疲労を感じつつもそれが癒やされていくのを感じる。
「少々働き過ぎではありませんか、エリオット先生」
「リカルド先生?」
タオルの片方を摘まんであげて見上げれば、最近見慣れた同僚の姿を確認した。
リカルド・ビセット。年齢的には幾分エリオットの方が下になる。
綺麗な白髪を耳のラインで切り揃えた人は、ガラス玉のような赤い瞳でエリオットを見下ろしている。
「これでは何故、私が貴方の補助に入ったのか分かりません。ご自愛頂かなくては困ります」
「それは分かっているのですが……」
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