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【R18】満たされて(ゼロス)
西のテロリストとの戦いから、早くも一ヶ月が経つ。
頃は十月、気候的には随分と過ごしやすいものになっていた。
「お疲れさん会? 次の安息日前日にか?」
クラウルの私室で今日話していた事を伝えると、部屋の主は途端に眉根を寄せる。反対ではなく、ふて腐れたのだ。
「今回は皆怪我もして、ようやく復帰を始めたので」
「そういう時期にわざわざしなくても……」
普段でも厳しく見える眉が更に寄る。今回は怒っているのではなく、違う理由が随分透けて見えるが。
「貴方と俺との時間はこれからいくらでも取れるでしょう」
「もう随分取っていない……」
「それは貴方が忙しすぎるから。俺の怪我は一週間ほどで大分癒えて、二週間後には調整入って抜糸も終えて動けたのですよ」
傷だらけと言ってもランバートのような生死に関わる深傷ではなかった。数は多く、体力的に限界で、合計の出血は多かったものの自ら歩く事も出来た怪我だ。
傷の細かな痛みは最初あった。だがそれも二週間もすればなくなった。一ヶ月経った今、薄らと傷は残るものの痛み止めも食事制限も業務制限もないのだ。
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