9人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「こうやって、侑ちゃんを毎日見れるのも、あと少しだなあ、って思って」
大好き。
寂しい。
居なくならないで。
そんな風に、言葉に出来たなら、どれだけ、良いのだろう。
森山先生と、莉夏は、元からお互いが大事で、大切にしていたから、森山先生が、先生で無くなるタイミングは、きっと二人にとって、良いきっかけになるに違いない。
だけど。
私は、違う。
大好きだと、何度伝えても、伝わっていない。
この想いも、伝えてきた言葉たちも、風に流される葉っぱみたいに、先生の思い出の中に、流れていくだけだ。
莉夏みたいに、私の気持ちが伝わることなんて、あり得ない。
解っているつもりだ。
本気なのだと、訴えたところで私が、生徒の私が、それを言うことで、先生を困らせることも。
生徒の私じゃ、恋愛対象にすら、ならないことも。
「須藤?」
急に黙った私を、不思議そうに見てくる先生は、相変わらず、寝癖がついてる。
ああ、やっぱり、好きだなあ、なんて、思っちゃうよ、先生。
「先生」
「ん?」
準備室にいるのは、私と、先生だけ。
「好き。好きなの。大好きなの」
どうして、学校から、居なくなっちゃうの。
「あー……うん。知ってるよ」
「知ってないよ。本当に、本当に好きなんだから」
最初のコメントを投稿しよう!