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水面の花火
町のはずれの小さな池に近付いてはいけないと、幼い頃からずっと言い聞かされて育った。
昔、その池に落ちて死んだ子がいる、というのは本当のことらしい。
見た目から想像するよりずっと池は深く、夏の盛りで生い茂る草が陸と池の境を隠していた。そして運悪く、遊んでいた子どもが池に気付かず落ちてしまい、そのまま帰らぬ人となった。
それ以来、池の周りは高い柵で囲われていて、私は遠目にそれを見て育った。
時折、業者が入って手入れをする以外、そこに近付く人はおらず、いつでもシンとした、とても静かな場所だった。
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