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第一章 と或る村の勇者。
月日は流れ、此の世界は暗黒に呑み込まれようとしていた。
いつの頃からか、太陽の光は弱まり、夜のとばりは人々に、恐怖しか与えなくなり、暗闇に怪しげな影が混じるようになった。
実際異形の者が街中を徘徊して、住民の失踪事件が相次いでいた。
そんななか、此の大陸の南の果ての、或王国に独りの剱の達人が現れた。
その男は、ある日ヒョッコリ現れて、いつの間にかある村に居着いてしまっていた。
男の名はグッダーダと言った。
南の海からやって来たと言う。
その男がその村にやって来たときに、一本の剱を携えていた。夕闇が落ちる頃、不意に海からやって来て、携えていた剱を抜き放ち、闇から抜け出たような異形の者共をバッタバッタと斬り倒し、暗闇へと追い返した。
以来勇者として、その村に居着いてしまった。
その頃その村が属している、王国で武術大会が大々的に布告されていた。
昨今怪しげな事件が多発しているので、武術経験者や腕に覚えの有るものを、広く軍に募集しようと言うのである。
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