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第二章 王の懊悩。
此の大陸【土地の者は、サーロンと呼んでいる。】の南の果てに、ローロと呼ばれる、巨大な山脈があった。その山脈は、遠く北の果てからも見える程巨大で、麓の至るところで、一日中日が当たらない場所が出来るほどだった。
そのローロの北側には、広大な森林が広がり、更にその向こうに、大平原が広がる。
そして南側には、小さいながらも何個も港を構える海洋国家、ナザン王国が存在していた。
そのナザン王国の現国王、イタル・ナザン・ゴーガザス7世は、毎日憂鬱な日々を過ごしていた。
現国王ナザンには、一つ年上の兄がいた。
本当なら、其の兄が国王となり、自分は補佐官を務めて、兄弟で此の国を守り立てて行こうと考えていた。
ところが戴冠式の前日、
「自分は堅苦しいことがきらいだから、イタル!王様はお前がやれ?」
そう言うって、城を出ていってしまった。
戴冠式に国王の後継者が居ないと、七人の副統治が国王を廃して、国家を統治する決まりがあるので、イタルは仕方なく、国王を引き受けた。
元々、几帳面だが、決断力にかける性格の自分に、王様は無理なのだ。
多少いい加減だが、豪快な性格の兄の方が、国王に向いている。そう思っていた。
そして自分が国王になって、一年も経たない内に、国に異常事態が勃発したのだ。
ことの始まりは、変な影が太陽を覆い出して、国のあちこちから、異様な事象の報告が相次ぐ。
更に異様な姿の、怪しい影共が国中を暗躍して、何件かの行方不明事件が、発生していた。
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