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第三章 西の隣国。
海洋国家ナザンは、北は大山脈ローロを背負い。南に大海ヨーザを臨む。東にヨーザにに流れ込む、大河バーヌを構えて、唯一西にローロを迂回する街道、バナル街道が、大陸の中との交易を、安易にしていた。
交易に限らず、西の街道に関所を設けるだけで、国土の防衛が出来てしまう。天然の要塞、堅城足り得るのだ。
そのナザンの西に、ローデンと名乗る小国があった。
ナザンが小さいながらも、港幾つも港を有するのに対し、岩場ばかりの岸壁に、城を構えて、北側に狭い耕地しかなく。ナバル街道を通じて、大陸奥の国々との交易。そしてローロの北側にある、大森林地帯での狩猟で、凌いでいた。
ナザンが約700年前に、現王国を拓いたのに対し、ローデンがその地に国を建てたのが、約150年前。
最初のうちは、使者を迎えたり送ったりして、国交を交わしていたのだが、50年位前から使者を送らなくなって、交易も中断。あろうことか、国境周辺で紛争騒ぎを起こすまでになっていた。
そのローデンの国王が、キーン・ジョーン3世。
キーン家の三代目。
もともとはサーロン大陸の北の方に住んでいた一族で、150年前に大国ザラン帝国に追われて、現在の地に辿り着いた。
そして今、出来る限りの大軍隊を東の国境に配した。
ローデンは、ずっとナザンを狙っていた。
最初は国力差が有りすぎて、手が出なかった。
キーン1世はもともとは、ローデンの一部隊長だったのだが、戦乱のドサクサに紛れて、国王にまで成り上がった。
そのキーン1世は地盤固めに、その生涯を費やした。
二代目のキーン2世は、外交政策中心に国政を推進させて、主に北の大国との国交を築いてきた。
そしてキーン3世である。
彼は根っからのボンボンである。
彼は、機は熟した!と見て、大軍を国境に集結させて、ナザン進行を企てたのだった。
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