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第七章 巨人シン。
第一試合会場が、一対一の対人戦に湧いている頃。
第二試合会場では、敗者復活戦が始まろうとしていた。
敗者復活戦は、バトル・ロワイアルで行われる。
しかも、全員素手の戦いである。
参加希望者は最初100人以上いたが、とある選手の登場で、辞退者が続出した。
陣取り合戦の時は、あまり目立たなかったが、鉄の鎧を脱ぎ捨て。軽装の皮鎧に着替えると、体が一際デカイのが分かる。彼こそが、国境警備大隊一の巨漢兵、シンである。
その通り名、ダイロン。
土地の言葉で、巨大な熊!
シンは元々ナザンの民ではなく、ローロの北側に棲む、山岳狩猟民族であった。
その中の一家族が、何十年も前にナザンに亡命【と言っても、彼らに国家と言う概念はない】、と謂うより難民と言う形でナザンに入国した。
シンの一族は、生来巨躯の持ち主で、シンは特に体がデカイ。そしてその体を最大に活用できるのは、軍隊であった。
そのシンが、御前試合に参加していた。
シンは一回戦で、敗退していた。
だが、最後の最後まで、敗者復活戦に参加するのを考えあぐねていた。
四回戦出場者の顔ぶれを見て、敗者復活戦に参加を決めた。
取り敢えず、敗者復活戦を制して、本戦に出場するのに専念するのみである。
シンが敗者復活戦に出るとあって、出場者の辞退が相次ぎ、10人だけになっていた。
その中にはモチロン、グッダーダの姿が有った。
先にも書いたが、敗者復活戦は、素手でのバトル・ロワイアルである。
復活出来るのは、3人。10人中3人ならそこそこの確率だが、シンが相手となると、ちょっと考え物である。
すると、グッダーダの肩を叩く者があった。
「ちょっと、話があるんだが‥‥‥‥。」
片方の目に皮の眼帯を巻いた、ちょっと胡散臭い感じの男が話しかけてきた。
「俺は、マグスと言う者だが。先ずは、あのデカ物を‥‥‥‥。」
マグスと名乗ったその男は、先ずシンを9人総掛りで倒しちまお!そう言ってきたのだ。
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