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私は音楽ファンである。
特に、ヘヴィネスの中にも透き通るような冷涼感と備えた、北欧産のハードな音楽を愛好する。部屋の本棚は、半分が輸入盤のCDで占拠されている(日本盤ボーナストラックという存在は何となく気に入らないのだ)。棚にあるCDのバンドのディスコグラフィーはもちろん、メンバーの変遷も全て記憶している。
そんな私が1stアルバムの頃から見守り続けているバンドが、「Revontulet」だ。私の葬式には1stの傑作バラード「Frozen funeral」を流してもらうことに決めている。
フィンランドの南端、ウーシマー県の南端、ヘルシンキ群にあるヴァンターを拠点にするこの新進気鋭のバンドは、北欧産に漏れず極北の冷気を何処か感じさせるサウンドを兼ね備えるのみならず、鋭く切り込むような独特の、しかしキャッチーなリフ、4オクターブの声域を自在に駆け回る壮大なボーカルを強力な武器として顕示する。
中でもボーカルは一番目立っている部分かも知れない。シベリウス音楽院出身のボーカリストで、某指輪のファンタジーに登場しそうなエルフのような、白金の長髪に深青色の瞳、そしてしみ一つない白皙の肌をした美しいエルノ・ヴィルタネンが、普段こうしたジャンルを聞かないリスナー、そして女性ファンをほとんど持ってきているのは周知の事実だ。
しかし、私はまるで彼に興味がない。私の心を奪い去ったのは別の男だからだ。
リーダー兼リードギタリスト、そしてメインコンポーザーのクラウス・ローゼンリープ。
私の最愛の人だ。
ああ、クラウス……。
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