歌詞カードのThanks欄

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 彼の名前を思い浮かべるだけで脊髄を電撃が駆け抜け、腹部から胸にかけて熱い衝動がこみ上げ、激しく心臓が脈打ち、切なく火照ったため息を漏らしながら床に崩れ落ちることしかできない。  1stアルバムの歌詞カードを初めて開いたとき、そこにあった彼の麗姿は今でもまなうらに鮮明に浮かんでくる。  均整の取れた長身に正面のファスナーを締めた黒い革ジャンを纏い、背まで伸ばしたストロベリーブロンドの長髪を煌めかせ、黒いVシェイプのネックに腕を絡ませ、その股を左太腿に乗せ、漆黒の天にたなびく翠緑のオーロラを見上げる、彼の立ち姿。  その力強くも繊細で麗しい、優しくも厳しい印象を与える、通った鼻筋と平行な二重、肉感的な唇の美しさと云ったら……。    あれから7年経っても、私の思いが色褪せることはない。きっと死ぬまで、彼のことをひたすらに思い続けるだろう。  そして、愛しい彼のために、私の心は千々に裂かれそうになっている。
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